通常、契約終了前に貸主または仲介した不動産会社・管理会社にその意思表示をします。その際には、再度契約書を確認しましょう。契約書には更新、退去それぞれの場合に何をしなくてはいけないかの記載があります。だから、契約が終了する時期が近づいたら、3カ月くらい前には契約書を取り出し、自分が何をしなくてはいけないかを確認しましよう。当社の場合、契約終了2~3ヶ月前にご連絡を差し上げております。
更新の場合
●更新時には書類を更新、更新料が必要なことも
同じ部屋に住み続けたい場合は契約を更新します。更新時の手順は契約次第で、契約によっては新しく賃料を設定、新賃料の1カ月分を更新料として貸主に支払ったり、新契約書作成の手数料として半月分などを不動産会社に支払う場合もあります。支払いの有無、額などは契約書にあらかじめ記載されているのが通例です。
更新時のおおまかな手順は次の通りです。
- 当社から契約終了の2カ月~3カ月くらい前に更新する意思があるかどうかの確認の連絡が入ります。
↓ - ここで「更新する」旨をお伝えください。
↓ - 更新に必要な費用、書類などがあれば当社より提示します。
↓ - 費用をお振り込み、あるいは持参で支払い、新しい契約書に押印します。(特別な事情のない限り郵送でのやりとりとなります)
↓ - 契約更新終了
退去の場合
●退去予告は書面で1~2カ月前が一般的
契約終了時に退去するのであれば、当社から連絡が来た時点で退去の意思を伝えてください。同時に「解約予告書」という用紙をお渡ししますので、解約日・退去(引越)の期日・立会日・移転後の連絡先・敷金の返還口座などを書いて郵送などで退去予告を行ってください。また、それ以外の時期に退去する場合も同様になります。
引越後に室内で立会いにて鍵を引き渡しし、原状回復費用を算出します。引越日が決まったら当社にご連絡をください。一般的に荷物を全部出した後の室内になにもない状態で住んでいた人と当方が立会い、室内の状況チェックを行います。そこで住んでいた人の負担となる室内のキズ、設備の不備があれば、費用負担がどのくらいになるか、貸主または当方が見積もりをとり、提示します。それが納得できる見積もりなら、その金額を敷金から差し引かれた分が貸主より返還されることになります。原則的に、長年住んでいるうちに自然に損耗、劣化したものに関しては貸主負担、故意や過失で壊したり汚したりしたものは借主負担となります。また、契約書には敷金返還の期日、方法まで書かれていないことがあるので、その場合は当方にお問い合わせください。多くの場合は退去から1カ月内外に振り込みになります。ただし、2~3カ月後ということもあるので、ご確認ください。
退去時のおおまかな手順は次の通りです。
- 当社から契約終了の2カ月~3カ月くらい前に更新する意思があるかどうかの確認の連絡が入ります。ここで「退去する」旨をお伝えください。それ以外の時期の場合は、当社に電話で退去の意思を連絡してください。
↓ - 当社所定の用紙がありますので、それに退去する期日などを明記し郵送するなどして正式に退去を予告してください。
↓ - 引越日を当社に連絡してください。引越完了後、立ち会いのもと、室内をチェックします。原則的に本人が立ち会い、ここで鍵を返還します。
↓ - 原状回復の費用負担の根拠となる見積もりを提示します。
↓ - 納得したら、その分を差し引いた敷金が振り込みなどの手段で返還されます。
家賃滞納や過失で部屋をキズつけたりしていなければ、原則としては返還されるものです。しかし、実際には借りていたお部屋を借りたときの状態に戻す(原状回復)ための清掃や修繕費用などに充てられるものとされ、原状回復の範囲は、契約や貸主次第で、借りている側には分かりにくいことが多く、その結果が「返してもらえない」というトラブルに発展することも多かったようです。これを是正しようと国土交通省が平成10年3月に発表したのが「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という指針です。16年2月には改訂版が出ました。
このガイドラインの原状回復と費用負担の定義は下の図の通りですが、借りた人が善管注意義務(※)に違反したり、過失や故意で傷つけたりしたもの以外は大家さんの負担というのが原則です。それを怠ったために部屋の損耗を助長したというのが、業務違反という意味になります。
※善管注意義務違反 借りた人は借りた部屋を善良なる管理者として注意して使う義務を負っている(民法400条)。
ただし、実際の契約書で費用負担について特別の記載(特約)があれば、それに従うのが契約の基本となります。畳替えは借主の費用負担など、具体的に書いてあれば借主はそれに従わなくてはならない場合もあります。また、契約書に別表として室内の各個所の費用負担割合などがあった場合もそれに従うのが原則です。いずれにしても退居時の敷金返還でもめないためにも契約時に原状回復に関する記載がどうなっているか、契約書を細かくチェックしておきましょう。
原状回復と費用負担の考え方
貸主が負担するもの | |
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借りている人が普通に使っていても発生すると思われる経年変化、通常損耗など | 家具の設置による床やカーペットのへこみ、畳の変色、テレビ・冷蔵庫の後ろの黒ずみ、クロスの変色、地震で破損したガラス、破損・紛失のない場合の鍵の取り換えなど |
借主が負担するもの | |
通常の使い方をしても発生するだろうが、それを放置しておいたために被害を拡大させてしまったもの | カーペットに飲み物をこぼしたことによるシミ・カビ、結露を放置したために拡大したカビ・シミ、風呂・トイレなどの水アカ・カビなど、普通の掃除では落としきれないような換気扇等の油汚れ |
故意・過失によるもの | 引っ越し作業で生じた引っかきキズなど、キャスター付きのいす等によるフローリングのキズ・へこみなど、ペットによる柱等のキズ、下地ボードの張り替えが必要なほど深く打ち込んだくぎ穴・ねじ穴など |