外壁を塗装する、ということは、見栄えを良くすることはもちろん、屋根と同様に外的要因から家を守る要素が非常に大きいのです。
直射日光や雨風などで、どうしても物質は劣化していきます。外壁は柱や梁などの骨組み部材とそれを覆う仕上げ材で構成されていますので、その損傷は、美観を損ねるだけではなく、雨が滲み込んだりして、木部を腐らせたり、断熱材を湿気させるなど、住まいの耐久性にも影響してきます。 その劣化を防ぐためにも塗装は非常に重要なのです。
Ⅰ.下塗り・中塗り・上塗り
塗装には大きく分けると、下塗り・中塗り・上塗りの3つがあります。
下塗り
仕上げを頑丈に、美しくするためにとても重要な工程です。
まずは下地調整という、水洗い等での壁面の掃除、ひび割れ・欠損の修正をします。外壁塗装において非常に重要な工程になります。
状況によって時間はかかりますが、下地の適切な処置が塗装を長持ちさせるポイントになります。 その後、壁面の状態を見極めて、下塗りの塗料を選びます。
種類 | 特性・効果 |
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シーラー | 中・上塗り塗料との密着を良くする接着剤のような役目がある。 |
浸透性シーラー | 下地に浸み込みやすく、下地の強化に優れる。 |
フィラー | シーラーよりドロドロしており厚みがつくため、凹凸がなく、なめらかな表面になる。 |
微弾性フィラー | 塗膜に弾性機能を持たせ、下地のわずかな暴れなどに追従してくれます。 ★2~3mm以上の大きなクラックに追従できるほどの弾性力は持ってないので別途シーリング(コーキング)や樹脂を使った下地処理をしなければならない。 |
中塗り
仕上げを頑丈に、美しくするためにとても重要な工程です。
下塗りと上塗りの中間に塗りつける層のことで平滑な下地を作ることや上塗り材の補強が目的です。 一般的には、中塗りと上塗りは同じ塗料を使用しますが、より丁寧な作業をしてもらう為にも色を少し変えてもらうのもひとつです。
上塗り
中塗りと同じものを塗り、仕上げとして塗りムラや厚みをつけ、より性能を高めます。 下処理を十分に行ったうえで、上塗りを規定内の希釈率で2回塗りすることにより、はじめてその塗料の持つ耐久性が確保できます。
Ⅱ.塗装の種類
油性(溶剤)と水性
塗料には大きく分けて溶剤型塗料(油性)と水性塗料があります。
溶剤は薄め液(シンナー)で希釈して使う塗料で、水生のものに比べれば臭いはありますが樋やエアコンカバーなどのプラスチック製品にも良く密着します。水性塗料は、以前は油性に比べ耐久性が劣っておりま
したが、開発が進み、 最近のものは油性に劣らない耐久性があるものもあります。
しかし、やはりプラスチックには密着しにくいデメリットがあります。 安全、臭いが無いという理由だけで、すべてが水性という仕様が当てはまらない場合もありますので特徴を熟知した人が塗装する部位によって良い選択をすることが必要です。
主な塗料の特徴一覧
塗料の種類は、数多くあり、用途みよって塗料の選択が変わってきます。
種類 | 特性・効果 |
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アクリル樹脂 | 最も一般的な塗料。ほとんどの一般住宅で使用。 ある程度の耐候性はある。(塗り替え目安:6~7年) |
ウレタン樹脂 | アクリルより耐久性のある塗料。最近はよく選ばれている。 マンションなどにも使われる。(塗り替え目安:8~10年) |
シリコン樹脂 | 内部結露などを防ぐ性質もあり高品質。 長期的な耐久性がある。(塗り替え目安:12~15年) |
フッ素樹脂 | 現在最も耐久性に優れる。 但し、値段が高額。(塗り替え目安:15~20年) |
Ⅲ.塗装仕様の種類
外壁塗装は、耐久性やデザイン性によって塗材の選択が変わってきます。
吹き付けボンタイル
吹き付けボンタイルをよく見かけることと思います。塗り替えの場合一番上に塗装するトップコートの種類により値段の差があります。 (アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、など)。
波型仕上げ(マスチック)
吹き付けボンタイルと同様にこの波型模様もよく見かけると思います。これも塗り替えの場合一番上に塗装するトップコートの種類により値段の差があります。
吹き付けリシン
新築時などには仕様されますが、耐久性が低いので住宅の塗り替えでは最近ほとんどなくなりつつあります。
吹き付けスタッコ
表面があらあらしく、塗り替えの際は一般の塗装面よりも塗材が多く必要なため、現状がスタッコの場合は少し高めの見積りになる場合もあります。
自然石調仕上塗材(セラミック系)
一時代を築いてきた塗装ではないでしょうか。こちらを売り込んできたリフォーム会社も多かったと思います。塗り替えなどにもよく仕様されてきましたが、最近はやや低迷しています。 施工価格は高価。
装飾仕上げ
塗料メーカーにより商品名や模様がことなるが塗面の質感などはほとんど同じ。ここではSK化研のベルアートを紹介します。 デザイン性にすぐれ、屋内外問わず塗装でき、耐久性にもすぐれているが色によっては汚れが目立ちやすい。施工単価はやや高価 建売住宅や店舗の内外装などでよく目にするのではないでしょうか。
Ⅳ.光触媒
光触媒塗装
光触媒塗料は紫外線にあたることで超親水性と有機物分解の2種類の機能が生まれます。 光触媒塗料をエクステリアなどの有機物が汚れの原因となる箇所に塗布することで、汚れを分解し、光触媒の超親水性機能で雨水と共に汚れを一掃して表面を綺麗に保つことができます。
『光触媒(酸化チタン)』の仕組み
光触媒である酸化チタンが紫外線が当たると強い活性酸素が発生します。この活性酸素は有機物(汚れや有害物質など)を分解し、最終的には無害な水と炭酸ガスに分解されます。 このとき酸化チタン自身は変化せず半永久的に効果は続きます。もう一つの機能として高い親水性があります。酸化チタンの活性酸素によって分解された微生物や汚染物質は、親水性質により活性酸素の層の上に発生する親水基の上に浮いているような状態になります。
地球に優しい光触媒
現在、自動車の排ガスなどから排出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などの環境汚染物質によって空気が汚されてしまっています。 窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)などは、酸性雨の原因になります。 しかし、光触媒塗装は、表面の酸化チタンに紫外線があたることにより、これらの有害物質を分解するだけでなく、浄化することも実証されています。